■湯灌の儀の意味 その流れ
湯灌や清拭は、日本の地で育まれた古来よりの精神と、中国から渡来してきた儀式が融合して、『死者を送るための風習』として日本の各地に深く根ざしており、映画『おくりびと』でも世界に紹介され、国境を超えて日本の風習として認識されました。
1.幸せな来世を願う宗教的儀式
生きている時にまとった悩みや苦しみを洗い流して清らかな身になり、旅立ちの準備を整えるという宗教的な意味合いがあると言われています。
故人が安らかに成仏するために現世での煩悩を全て洗い流すのです。
また、湯灌の入浴は産湯*(うぶゆ)にも通じると言われ、「幸せな来世に生まれ変わることを願う」という意味も持ちます。
*産湯:赤ちゃんが生まれて初めてつかるお湯のこと
2.故人を労り遺族を癒す儀式として
一日の疲れや汚れを落とす習慣を反映し、一生を終えた故人に対しても「最後の癒し」として入浴や身体を清める儀式をさせて、癒し労うという意味があると言われます。
特に日本人にとって入浴の習慣は特別な文化でもあります。
故人の体を清め整えることで、お元気だった頃の姿に近づけ、『ご家族の心を癒す儀式』でもあります。
3.ご遺体を衛生的に保つための処置として
死後のご遺体からは体液や血液が流れ出ることもあります。
これらをきれいに流し、ご遺体を衛生的に保つための処置としての意味も持ちます。